想いを叶える親愛信託 49
- oikaway4
- 2月26日
- 読了時間: 4分
更新日:3月3日
第49回「親愛信託での受託者は誰にする?」

商事信託と親愛信託の違いを知っておく
不動産などの財産に対する対策で、親愛信託を活用したい! と思った時に決めなければいけないことの一つに「受託者は誰にする?」ということがあります。受託者が信託銀行や信託会社というのは商事信託になります。金融行為として認可や登録をしている法人が受託者になるので、費用がたくさんかかりますし、生い立ちから置かれている環境など、自分のことを全て知っているわけではないので、自分の想い通りになるというわけでもありません。
例えるなら、高いお金を払ってプロに料理を作ってもらう場合と、おうちで誰かに作ってもらう場合と、どちらの方が自分の思いが伝わる料理ができるかという事です。「今日はハンバーグがいい!」、でも玉ねぎは少なめにとか豚肉じゃなくて牛肉がいいとか、おうちで作ってもらえば自分の好みも知ってもらっていますし、自分好みにリクエストすることもできます。一回だけならプロに頼んでもよいかもしれませんが、それが一生、さらにはその先も…となるとやはり自分の意思がきちんと反映できる形にしておきたいのではないでしょうか?
自分のことを一番理解してくれている人を受託者にするのがベストです。とはいえ、自分のことはとても分かってくれているけど、財産管理を任せられるほど能力がないというような場合もあると思います。その時には直接その人が管理するのではなく、不動産なら信頼置ける管理会社に、株式なら信頼できる人を代表取締役にするなど、対策を取っておくこともできます。
まずは自分の財産を信託財産にしておく
ご自身が元気な間に前述したような体制を整えておけるのが親愛信託の特徴です。それに加えて、受託者をサポートする「信託監督人」を設定したり、受益者をサポートする「受益者代理人」を設定したりすることもできます。受託者選びは悩むところですが、所有権で渡してしまう場合と違って、受託者一人の権限で何でもできないようにもできますし、できるようにすることも可能です。
そして、もしも役不足であれば他の人に変更することも、自分が一時的に受託者になることも可能です。受託者がどうしても決まらなければ、自己信託でスタートしておくこともできます。大切なのは、自分の財産を所有権ではなく、信託財産にしておくことです。
受託者が決まらないからといっていつまでも所有権のままで自分が持っていると、もしもの時には相続になってしまうので、自分の想いを叶えることは大変難しくなります。手続きも複雑です。そして、相続で引き継いだ人は所有権で引き継ぐので、引き継いだ人の自由になりますし、一人で何とかしないといけなくなります。さらに、引き継いだ人を変更するのも容易ではなくなります。
後継者が未熟であればなおさら、いきなり相続で引き継がせずに信託で受託者にして、一人で判断するのではなく、受益者もしくは受益者代理人、または信託監督人の合意が必要というように周りのサポートを受けられるようにし、後継者を育てながら財産を管理や処分していくようにしておきます。
いきなり完璧な人はいないので、ご自身がサポートできる早い段階に後継者を受託者にして育てていくのです。もちろん自分のことを理解してしっかり継いでくれる人であれば親族である必要はありません。受益者は財産自体を引き継いでくれる人、受託者はその財産に対して自分が運用してきたものを引き継いでくれる人を選ぶことになります。
適切な人がいなければ法人にするという事もあります。ただし、法人にするとコストもかかります。逆に法人にすることで節税になる場合もあります。受託者は親族がいいとか法人がいいというわけではなく、その人にあったスキームにすることが大切です。受託者が決まらないから信託がスタートできないという事はないので、もしも親愛信託が必要な財産であればできる限り早くスタートさせることが大切です。
監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)
よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長

略歴
2015年行政書士まつおよう子法務事務所開業。
16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。
著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。
(第1093号 2023年4月16日 より 引用)
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