木造住宅の構造設計を担うJ建築システム(札幌)が開発した、耐圧版式グリッドポスト基礎工法が人気だ。
束状のグリッドポスト(以下GP)で通風性の高い床下を実現する同工法は、床下利用の空調システムを使った高断熱住宅の普及で注目度が上昇。2022年度はコロナ前の19年に比べて2倍以上の棟数を売り上げた。現在も道内外から問い合わせや受注が急増する。
「暖気の通りがまるで違う」。床下エアコンの全館空調住宅を手掛けるアドバンスホーム(福島)の出口慎一工事部長は語る。束状のGPを耐圧版スラブの必要な箇所に設置する同工法は、床下の通気を遮る内部立ち上がりがないため部屋のどの場所にもムラなく暖気が行き渡る。現在は手掛けるすべての住宅で使用する。
モリシタ・アット・ホーム(兵庫)では21年頃から耐圧版式GP基礎工法を取り入れた。導入の決め手は、床下エアコンの全館空調とパッシブ換気を組み合わせた同社住宅との相性の良さだ。森下誉樹社長は、暖気の回りやすさに加えて許容応力度計算に基づく安全な基礎なのが大きな魅力と話す。「今、耐震等級3は当たり前。顧客も動画サイトやSNSなどで勉強している。そういった人にこそ自信を持って勧められる」。
J建築システムの手塚純一社長は「コロナ禍で住環境への意識が高まり、全館空調など高性能住宅を求める層が増えたのでは」と話す。16年に日本建築センターの構造評定を取得し、22年12月で累計10000棟を達成。23年度は年間800棟超を見込むとした。
(第1094号 2023年5月1・16日合併号 4面より)
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